【ブックレビュー】脅威インテリジェンスの教科書
この本の前書きに「セキュリティシステムは常勝を義務付けられているのに、攻撃者は一度勝つだけで良い」とあるようにサイバーセキュリティの世界は圧倒的に有利です。防御側の我々は組織内の『あれが危険』『これが足りない』と分かっていても、その工数も予算も捻出することはできません。だからといってそれを言い訳にセキュリティをなおざりにしてはならない・・・そんな状況で注目されているのが「脅威インテリジェンス」です。 攻撃する意図がある 攻撃できてしまう攻撃対象の状況がある 攻撃者自身に攻撃する能力がある この3つが揃ったときに脅威は現実化します。対してインテリジェンスとは 情報収集・加工・分析評価の成果物 成果物を作成するプロセス それらを行う組織 を指します。 単にデータ(Data)を収集するだけでなく、それを加工して情報(Information)とし、更に分析してインテリジェンス(Interlligence)とします。また脅威インテリジェンスも、対応する期間や組織などにより戦術・運用・戦略と分けられます。現代ではセキュリティは現場の技術者だけが考えればよいのではなく、経営者も検討する必要がある経営課題となっており、戦略が必要となっています。この本はその各分類に分けて、考えることをまとめています。本では様々なセキュリティに関する用語や組織が出てきます。MITRE ATT&CK(マイターアタック) どこかで聞いたことあるな・・・という用語はCISSPで学んだ知識でした。不合格なわけだ(ーー; 伝統的なリスク管理として『コンプライアンス型アプローチ』というセキュリティのAs isをTo beに持っていく方法がありますが、最初に書いたように資産が膨大、人は少ない状況ではすべてを対応するのは不可能です。ましてどんどん新しい脆弱性が生まれ、クラウドサービスなど外部ベンダーが保有するインフラ上で業務する場合、もはや手がつけられない分野も発生し、そこは相手がちゃんとやってくれることを信じるしかありません。...
2023, Aug 20 —