【ブックレビュー】セキュリティの心理学
認知心理学や犯罪心理学を活用した情報セキュリティの防御策を検討している組織が日本には存在します。 https://www.iwsec.org/spt/ や https://www.infosecpsychology.com/ です。 情報セキュリティにおいて心理学の効果はバカにならないはずです、すべてのセキュリティ専門家が口を酸っぱくして言っているように、セキュリティの最前線は結局人間であり、攻撃者は人間の心理をついてくるからです。アダルトサイトの請求や重要会議の議事録を騙る詐欺メールはその典型的な手口と言えるでしょう。事実セキュリティインシデントの最多要因は詐欺メールなのです。完璧な人間がいないように、完璧なセキュリティもありません。 1章ではセキュリティインシデントを引き起こすヒューマンエラーも偶発的なものではなく、「ある条件下では必然的に起きる」という研究成果を紹介し、それを導き出す理論やモデルが記載されています。内容を理解するのは非常に難しい・・・「お、おう、そうなのかー」という感想が占めますw が、ヒューマンエラーを起こす土壌には安全への軽視、なぜ安全が軽視されるか=正常状態の品質へのリソース傾倒という話は非常に重要で、セキュリティ担当者が経営層をちゃんと説得しなければいけない分野です。 2章では近年の情報セキュリティの対策が難しい理由が示されます。 セキュリティのCIAが情報資産によりまちまちである 1年前にはチャットAIは一般普及していなかったように、進化のスピードが早い OSSの普及によりアタックサーフェイスが増大 上記の結果として人間(ヒューマン)がついていけず、エラーを起こす よく我々は現代社会を生きていけますよね…。心理的側面からリスクをコントロールする術が紹介されています。操作者をターゲットとした攻撃モデルには「直接型」「間接型」「それを組み合わせた集団型」があり、いずれの対策も必要にあります。登録セキスペのオンライン講習にも出てくる不正のトライアングル(「機会」「動機」「正当化」)を防止することが重要ですが、人間を完全にコントロール化に置くのはコンピュータよりも困難です。長文による分析と、様々なモデルが提示されていますが、ここまで考えるのは・・・セキュリティのソリューションを販売する会社が考慮して、僕たちはその恩恵に預かるではだめなのだろうか。 第3章ではいよいよヒューマンエラーを重点を置き、その対策を提示します。シンプルに、同じ用途のものは近くに置き、混ぜるな危険のものを近くに置かないようにしたり、判断情報を視覚的に付与したりするのは基本的ですが有効です。逆に認知の歪みや理論、推論を提示されると解決策が分からんぞ。論文のような内容なので文章が読みにくいし、読むにも気力を消費します。エラーを起こしにくい人へのインタフェース提示のやり方がある、と書いてあるようです・・・(ふんわり)...
2023, Jun 25 —