【ブックレビュー】ホワイトハッカーの教科書
僕は会社での肩書が「セキュリティエバンジェリスト」(たいそうな肩書をいただいていますが、イメージとしては「セキュリティ担当」で間違いありません)であり、ITエンジニアの中でもセキュリティエンジニアの一部の領域ともいえる「ホワイトハッカー」の活動におんぶにだっこしています。彼らが何をしているかを知りたくてこの本を取りました。
セキュリティに関しては攻撃側は様々なカテゴリ、プロトコルを使用します。そのため同等の技術力を持たないといけない防御側=ホワイトハッカーも、ネットワークからデータベース、プログラミングからハードウェアなど非常に広い範囲の知識が必要です。エンジニアとしての総合力を必要とします。さらに言えば法律も知っていないといけない。映画にもなったWinny事件やLibrahack事件、Wizard Bible事件など、世の中には「それサイバーセキュリティ犯罪ではないのでは?」と思うものでも法律の解釈が曖昧のため犯罪扱いされてしまうことがあります。そして当然ですが倫理が必要となります。ホワイトハッカーはブラックハッカーと同等のスキルを持っているわけなので、その力を正義にも悪にも使うことができるのです。
この本はホワイトハッカーになりたい人がするべきことを1から7まで順番に解説している分かりやすい本です、まさに教科書。モチベーションを維持する方法などは基本的なことですが、諸学者にとっては良い指針になります。尊敬するエンジニアをフォローして、良い刺激をもらうのはよさそう。自分もそういう人を見つけたい。著者はホワイトハッカーを自称しませんが、彼の教科書的なスキルアップに用いる習慣、Webサービスなどの紹介は特に初心者にとって良い道しるべになると思います。知らないWebサービスやインターネット大学、技術サイトもたくさん紹介されており、著者のIPUSIRONさんはこれらを利活用して優れたホワイトハッカーになっているのでしょう。逆に僕はこの本を読んで「自分の目指す場所はホワイトハッカーではないな」という結論に至りました。
読んだ感想としては「真のホワイトハッカーになるには時間が必要だが、時間は有限である」ということ。現代は時間の奪い合いであり、誘惑にあふれていますからね。一方Udemyをはじめとした学習の助けになるコンテンツもたくさん知ることができました。時間をお金で買うことも重要。